報告書

平成24年度 ものづくり競争力研究会 報告書
「東日本大震災を踏まえた企業の事業継続の実効性向上に関する調査研究」

東日本大震災によって、ものづくりのサプライチェーンにおける基幹部品や重要部素材の生産が停止したことは、直接被災していない企業を含め全国的な生産停止や減産をもたらし、その影響は海外にも及んだ。一旦商機を失うと巻き返しが容易でないケースも少なくないことから、現在、我が国ものづくり企業では、自社の生産・物流拠点の災害対応力の強化だけでなく、サプライチェーンにおけるリスクの所在の把握、調達先の分散化・複線化の徹底に加えて、非基幹部素材における代替可能性確保などサプライチェーンの途絶リスク低減に向けた取り組みを進めている。
一方、世界に目を転じると、近年、グローバルな競争環境が激化しており、急成長する新興国市場などにおいて、我が国ものづくり企業は海外競合メーカーとの厳しい競争にさらされている。従来、我が国ものづくりの特徴・強みとして、完成品メーカーとサプライヤーとの擦り合わせによる特注部素材をベースにした高品質な製品づくりが指摘されてきたところであるが、新興国市場等における競争力確保に向けて、仕様・部品の共通化、部品のモジュール化、現地調達可能な部素材の活用など、製品設計の考え方の見直しやこれを踏まえたサプライチェーンの再編成の動きもみられる。
我が国ものづくり企業が事業継続の実効性を高めていくためには、サプライチェーンを含めて、競争優位を確保しつつ、リスク対応力を高めることが重要である。
そこで、本調査研究では、先進企業へのインタビュー調査を実施するとともに当研究所内に設置したものづくり競争力研究会において、先進企業の事例を中心に検討を行い、提言をとりまとめた。