報告書

2024-2025年度 人材研究会 報告書 「個人と組織の双方における自律と共創を育てる取り組み」に関する調査研究

多くの日本企業では、従来、新卒や若手人材を採用し、企業内において実務と教育を通じて育成し、自社に資する人材へと成長させる人材育成手法を採ってきました。この過程では、まず業務を自力で遂行できる「自立」を育み、その後、周囲と協力し組織として成果を生み出す「協働」へと成長させ、最終的には管理職や幹部としての能力開発が期待されてきました。

また、2000年代以降、「キャリア自律」という概念が広がり、個人が主体的に自身の職業人生を設計し、目的意識を持って働く重要性が指摘されるようになりました。その背景には、環境変化の加速により企業が明確な将来像を示しにくくなったことや、企業が従業員のキャリアを終身的に保障することが困難になった背景があります。

一方、キャリア自律が「個人の自由な選択の尊重」として過度に捉えられることで、企業の戦略的な人材配置や人材育成、さらには個人の長期的成長に支障が生じる可能性も指摘されています。個人が希望しない業務を回避したり、短期的な転職を繰り返したりすることで、結果として成長機会を逸するおそれがあるためです。

このような状況下で重要となるのは、不確実性の高い環境においても自ら考え、行動できる「自律性」と、多様な人材と協働して課題解決を図る「共創力」であり、特に近年は、一部のリーダー層に限らず、多くの従業員において必要であると考えられ、自ら目標を設定し業務プロセスを主体的に管理する「仕事自律」が求められているとも言われています。

本研究会では、こうした問題意識のもと、必要な人材像を「自律した人材」及び「共創できる人材」として定義し、更に、これら両方の特性を併せ持つ「自律×共創の人材」に着目して、そのような人材を育成・拡充するための組織的な取り組みを明らかにすることを試み、守島基博座長(学習院大学 経済学部 経営学科 教授)を中心に構成される人材研究会を、2024年度~2025 年度の2年間にわたって開催し、本報告書を取りまとめました。