報告書

平成30年度 CSR研究会 報告書
「新時代の『ビジネスと人権』のあり方に関する調査研究」

当研究所では、2011 年に国連人権理事会にて承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」を受け、人権に関する国内外の動向や先⾏企業の調査研究を⾏い「新興国等でのビジネスと展開における人権尊重のあり方に関する調査研究報告書」を2012年度に取りまとめた。
その調査から6 年が経過した現在、昨年国内では初となる「人権報告書」を公表する企業が出てくるなど一部の企業ではその取り組みに進展がみられるものの、まだバリューチェーンを考慮した人権リスクに対応できていない企業も多く⾒受けられる。足元における「ビジネスと人権」に係る動向を俯瞰すると、2015 年3 ⽉に英国で現代の奴隷制を防⽌する法律である「Modern Slavery Act 2015 (現代奴隷法)」が制定されるなど、世界各国でビジネスと人権に関する法規制が強化されており、企業の人権侵害問題が売上高に与える影響や投資判断にマイナス影響を与えるというレポート4も発表されている。
我が国では、SDGs 実施方針に基づき政府もビジネスと人権に関する指導原則を実⾏するための国別⾏動計画(NAP)策定への正式なコミットメントを表明し、ベースラインスタディ調査等の作業が進められている。また産業界においても、2017 年には「経団連企業⾏動憲章」が改定され人権尊重の条文が新設された。さらに2020 年東京オリンピック・パラリンピックでは、指導原則に則り大会の運営準備を進めていくことが史上初めて明記された。今後、日本の人権をはじめとしたサステナビリティの取組みが世界中から注目されるなかで、現状の実態についての情報や、海外と比較した日本固有の課題に対する分析や人権への対応に伴い晒されるビジネス上のリスク/機会といった切り⼝で、新時代の「ビジネスと人権」のあり方にかかる提言を取りまとめ、世界に発信していくことは極めて有用である。
そこで2018 年度は、当研究所に企業、学識者、政策当局等の関係者からなる研究会を設置し、『新時代の「ビジネスと人権」のあり方』 について調査研究を⾏うこととした。